ホーム 研究の価値を捉え直す〜チームで10年後の未来を作る開発年表〜

    研究の価値を捉え直す〜チームで10年後の未来を作る開発年表〜

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    「自分はどんな研究者を目指そう?」「研究経験を活かしてどんなことができるのだろう?」そうした研究キャリアの疑問を解消し、自分の目標や未来像を照らす羅針盤のような思考ツールを紹介するコーナーです。

     

    【今日のツール】

    研究の価値を捉え直す〜チームで10年後の未来を作る開発年表〜

    生命科学が専門の巣立生美(すだち いくみ)さんは、大学院での研究を社会に活かしていきたいと思っています。でも、変化の激しい時代の中で、自分が取り組む基礎研究が将来、本当に社会の役に立つのか、不安に思っていました。巣立さんには、グループワーク形式の授業を通じて知り合った異分野の友人とともに、お互いの研究の未来についてを考えようと、このツールを使ってみました。

     

    【使い方】

    はじめに:こちらからワークシートをダウンロードしましょう。PC上で書き込むことも、印刷して手書きすることも可能です。


     

    理想とする未来:  
    社会的背景: 

     

        現在 →        → 5年後→           → 10年後
    名前(分野) 研究開発年表 目標とする状態
     

     

     

     

     

     

     

     

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    お互いの研究の掛け合わせで可能になること:
     

     

     

    書き方

    ① まず、異分野の研究者を集めてチームを作ります。

    ② 自分たちの研究テーマ以外で、今の生活から理想に思う未来の状態をチームで話し合い、 [理想とする未来:] [社会的背景:] の欄を埋めます。

    ③ 次に、メンバーの [名前(分野)] を書き出し、理想とする未来に向けてそれぞれの [研究開発年表] と10年後の [目標] を書きます。

    ④ 最後に、理想とする未来の実現のために [お互いの研究の掛け合わせで可能になること:] を書きます。

    ⑤ 理想の未来へと向かう研究の掛け合わせを振り返ることで、自分の研究の価値の広がりを捉え直すことができるはずです。

     


     

    記入例:

    理想とする未来:  離れた場所にいても、いつでも感情や意思が通じ合える世界
    社会的背景: 会いにいくだけじゃなくオンラインで繋がることが当たり前になる

     

      現在 →        → 5年後→           → 10年後
    名前(分野) 研究開発年表 目標とする状態
    生美

    (生命科学)

    アミノ酸の生理的役割の解明 神経伝達物質の生理機構の解明 化学物質伝達としての生理機構の解明
    有太

    (有機合成)

    生体に新しい作用を持つ分子の創発、合成機構の解明 生体適合性を持つ分子の合成、材料としての生産 生体適合性を持つ電子デバイスの材料を作る
    心美

    (心理学)

    人の心理状態の体系的な理解 心理状態を科学的に数値で再現する技術の開発 心理状態を数値化できる
    数子

    (数理情報)

    人の感情や意思の数値情報としての理解 数値信号で人の感情や意思を再現できる技術の開発 数値信号で心理状態を伝達できる

                         ⬇︎

    お互いの研究の掛け合わせで可能になること:
    ・生命と化学合成のそれぞれの機構の解明

    ・人間の心理状態の数値的な理解

    ・生体適合性をもつ化学製品、電子デバイスの開発

    ・数値情報を活用してデジタルに人の感情や意思を伝え合える技術の開発

    言語表現だけでなく感情や意思を表現できる生体適合性デバイスの開発

     


     

    まず、巣立さんたちは、自分の研究テーマ以外で、今の時点から理想の未来を話し合ってシートに書き出しました。最近、オンラインで友人同士気持ちが通じにくいと思う機会が増えています。そこで、巣立ちさんたちは、オンラインで離れた場所であっても、いつでも感情や意思を通じ合える世界を作りたいという考えに至りました。次に、それぞれの分野で、それに向けた研究開発の10年年表を書いてみました。巣立ちさんたちは、それぞれ、生命科学、有機合成、心理学、数理情報の専門性を持っています。互いの専門性を掛け合わせると、『生体適合性を持つ電子デバイスを開発し、数理情報で人の感情や意思を表現できる』可能性があることがわかりました。理想の未来を想像し、それに向けた異分野との掛け合わせを考えることで、巣立さんは、自分が基礎研究を突き詰めた先にある未来と、自分の研究の価値を捉え直すことができました。視野が広がった巣立さんは、さらに自分の研究の可能性を拡げるために、異分野の研究者が集まる場所に積極的に出て行くことにしました。

     

    【次の有効なアクション】

    さらに自分の研究の可能性を拡げるために、異分野の研究者と将来の研究テーマを議論する場に、積極的に出て行ってみてください。

     

    異分野の研究者、企業と、あなたの研究とを掛け合わせられるディスカッションの機会はこちら

    <キャリアディスカバリーフォーラム>
    研究者が描く未来を、研究開発型の企業と議論し、
    研究者の新たな活躍の場を発見するキャリアイベントです。キャリアディスカバリーフォーラム in 東京
    日時:3月20日(土)13:00-17:00 場所:センターオブガレージ(東京都墨田区)キャリアディスカバリーフォーラム in 神戸
    日時:3月27日(土)13:00-17:30 場所:クリエイティブラボ神戸(兵庫県神戸市)申し込み・詳細:https://cdf.lne.st/